東大 生物情報学科、学部生の備忘録

東京大学の学生です。日々の気づき、学び、つまづいたことをメモにします。

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数理の苦手意識とその改善方法について

はじめに

数学や理科、いや特に数学の勉強方法についてかなり思うところがあるので、ここで述べたい。 前提として、私は LINE のオープンチャットで「東大生が勉強を教える!」のような名前のルームを開き、そこで勉強方法や具体的な教科ごとの質問から、人生相談的なものまで対応している。(段々とルーム内のメンバー同士で教え合うようになったので、全てに返事しているわけではないが。)また、大学でも、数学や理科が苦手な人と話す機会が多くある。個別教師や家庭教師を通しても、多くの人を見てきた。

塾講師の方が多くの生徒を見ているぜ!と思う方もいるかもしれない。それはそうだろう。しかし、数学の勉強方法について、それほど深く見ていないはずである。強力な根拠として、そもそも塾講師が数学のより良い勉強方法をご存知ない、と言うことが考えられるだろう。

アメリカでは、勉強の方法を学校で教えると聞く。私が学校に通っていた頃、「勉強しろ勉強しろ」と教師に言われはしたが、具体的にどうやって勉強したらいいか、教えられたことはなかった。今思えば、教師自体が知らなかったからだろうなぁ。勉強の仕方を理解している人たちは、おそらく学習欲が非常に強く、研究職などの、教師以外の職に就くことが多いのかもしれない。推測に過ぎないが。そんな社会において数学の勉強方法を紹介するといった重要な役を担いたい。ひいては、勉強の重要性を説明できるようになりたい。

本記事では、数学の勉強方法について、ぼんやりと方向性を示せることを目標に、つらつらと述べていきたい。まとまったものができるかどうかはわからないが、やってみたい。

数学の苦手意識の本質

よくある数学に苦しめられる例から考えたい。

三角関数で挫折するような人々

数学が苦手(or 得意になりきれない)人は、共通して高校数学 2 の三角関数の分野で挫折していることが多いと思う。(僕調べ。) その理由としては、次のようなものが挙げられるだろう。

  • 急に出てきた sin, cos が一体なんなのかわからない
  • 三平方の定理があればいらなくない、、?なんでわざわざ、、?
  • 加法定理とか出てきたけど、これは何で成り立つの、、?積和公式&和積公式??何で?何で成り立つん、、?

とまあざっとこんな感じ。こういった人々の考え方の問題点と解決策をそれぞれ示していく。

数学が苦手な人の考え方の問題点と打開策

  • 上の考え方の問題点
    • sin, cos が一体何で何のためにあるのかにこだわり過ぎて、問題演習で手を止めてしまう。
    • よく知らないものが同時に複数出てきた時に、思考を諦めてしまう。
    • 自分だけが理解できていないと思って焦ってしまう。みんな急に出てきた概念に戸惑うに違いないのに。
    • 必要性がわからないと、無意味だと切り捨てて思考を止めてしまう。
    • まとめると、新しいものを受け付ける耐久力が低い。そのせいで、複数の新しい概念が同時に登場することによって思考が停止する。
      • そういった人々は、新しい概念が同時多発的に出てこない英語や国語の方ができる可能性が高く、自分には理系としての適性がないのではないかと思って数学の勉強をよりやめたくなる。
  • 改善方法
    • 新しい概念が出てきた時、焦らない。みんなわからない。自分だけがわからないなどと思わない。
    • 新しい概念を使うとき、それの存在意義や成立する理由などを気にせず、とりあえず言われた通りに使ってみる。頭を動かそうとして思考が停止するくらいなら、まずは手を動かせば良いんです。
    • (数学は特にそうだが、)新しい概念が出た時にその意義にこだわらない。数学では、毎回毎回なんのために勉強しているのかわからないテーマばかりである。それらを十分身につけた瞬間に初めて、その意義を体感できる。数学が好きな人は、その視界が急に開ける瞬間が好きなのだと僕は思う。

このように、数学が苦手な人は新しい概念を受け入れる力が弱い。若いうちはまだ良いが、歳をとるにつれてさらに新しい概念への耐性は弱まり、現代においてスマホを避ける高齢者がいるように、新しい技術や製品なども避けるようになっていくだろうと考えられる。多少言い過ぎではあるだろうが、数学が得意な人は、新しいものを積極的に利用し、時代に追いついていくのが好きという傾向があるかもしれない。

数学を教える人に持ってほしい心構え

数学を教える教育者としての視座を高めたい。

僕が数学教育における目標として重要だと思っているポイントは、次のようなものがある。すなわち、

  • 「わからない」で焦らないような耐久力

この力を得るためには、「わからない」を乗り越えたとき、大きくステップアップできるという感覚の経験が必要である。成功体験が必要なのである。これを身につけた学生は、困難に直面しても、それを乗り切った後の気持ちよさを知っているため、困難に立ち向かい、「わからない」と向き合いながら問題解決に努力できる。そうではない学生は、少量の「わからない」に直面しただけで逃げ出し、なるべく「わからない」が少ない方向へ行こうとする。「わからない」から逃げている以上、大きなステップアップの機会は少ないと考えられるため、なかなか厳しい未来が待っているかもしれない。(可能性の話です。)

これを実現するための方法を教師は常に考える必要があると思う。 実際に生徒のタイプ別の方法論を書いてみる。

  • 難しい問題を解けた時の喜びを知っている生徒
    • すでに一定水準の「わからない」耐久力を持っている。少しずつ限界を高めるように、少しずつより発展的な問題を与えてあげる。しかし、急にレベルアップしすぎると、逆に根強い苦手意識を植え付けてしまったり、アイデンティティの喪失だと信じて嘆いたりしてしまうかもしれない。少しずつ、その生徒にあった幅で問題の難易度を上げるのが良い。
  • 少しの「わからない」で諦めてしまう生徒
    • おそらく数学への苦手意識がかなり強く、数学というだけで避けたり諦めたりするような人も多いだろう。特に高校生や大学生にもなれば癖になっており、なかなかその弱りきった耐久力を底上げするのは大変である。
    • 方法としては、ハッとするものではないと思おうが、少しずつ耐久力を上げていってやることに尽きる。数学が得意な人と同様に、初めは彼ら彼女らが確実に解けるレベルの問題から始め、少しずつ少しずつ難易度を上げていってやるしかない。「数学が苦手というのは思い込みに過ぎず、正しい勉強方法を今までの小学校中学校高校で先生が教えなかったから悪いのだ、あなたは悪くないし、数学が苦手というのも間違っている。」ということを何度も何度も伝えてやる必要があるだろう。

最後に

とりあえず書き殴る形になってしまったが、自分の言いたいことを少しは言葉にできたと思う。 大学で学んでいても思うのだが、結局新しいものや自分にとって目新しいもの、不慣れなもの、たったそれだけ何に「苦手」「才能がない」「向いていない」という理由を挙げて逃げてしまうというケースが多いように思えるのである。ただ自分にとって馴染みがないというだけなのに。

今後は、より具体的な数学を勉強するときの参考書や問題集の使い方について、紹介したいと思う。これについてもかなり詰めたので、完成次第、記事のリンクを添付する。 ここまで読んでくださり、ありがとうございました。思うところがあれば、ぜひコメントください。ブラッシュアップしたいと思っております。

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