東大 生物情報学科、学部生の備忘録

東京大学の学生です。日々の気づき、学び、つまづいたことをメモにします。

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generalist か specialist か

はじめに

この記事では、generalist と specialist が何なのかを説明し、その上でそれぞれの強みを述べ、どちらを目指すべきかといった議論を行う。

generalist と specialist とは

ここでは、generalist と specialist の説明を行う。 generalist というのは、何でも幅広くこなせるもののことであり、「広く浅く」と表現されることが多い。それに対して、specialist とは、ある特定の領域に特化したもののことであり、「狭く深く」と表現される。

例えばニュース番組などでいつも出ているコメンテーターは、ジェネラリストと言えるだろう。ジェネラリストの彼らは、幅広い知識を持ち合わせ、それを組み合わせて目の前のニュースについて議論するのである。同様のニュース番組でも、その日のニュースに関係した専門家が日替わりで呼ばれている。彼ら専門家は、スペシャリストである。コメンテーターが持ち合わせていないような考え方や知識を持っている。 テレビ番組の場では、両者が建設的な議論を行うことで、視聴者の知的好奇心を満たすことができれば良いのだろう。

「広く、深く」を目指したい

僕は、ジェネラリストを目指していた。そもそも僕の生涯の目標として、

  • ありとあらゆる能力(知識、考え方、健康、コミュニケーション)の水準を最大にして、死ぬ。

というものがある。これはいわば、全分野に深い造形のあるジェネラリストといえるだろう。「広く、深く」である。

「広く、深く」へは、どういうルートがあるだろうか。

私は、大学での勉強を通して、「広く、深く」には限度があることを思い知った。一つの分野であっても、学ぶべきこと・キャッチアップすべきことが非常に多く、別の他の分野を深く究めるのは非常にコストがかかる。

このようなことから、私はまずはスペシャリストを目指そうと思った。 スペシャリストになるための努力を通じて、学び方の基本を理解したり、研究作法が身についたりするはずである。つまり、専門分野を先に作り、それを軸として他の分野に挑むという方針にしたのである。

この方針にすることで、「融合領域」を生み出しやすくなることは自明であろう。 他の分野に足を踏み入れる時、自分の専門分野と他の分野は脳内で融合し、全く新しい発想を生み出すであろう。それが、新たな学問領域になるはずである。

大学の先生が面白いことを言っていた。 優秀な研究者は、すでにある学問分野から専門を選択するのではなく、自分が面白いと思ったことを研究し、それが新たな学問分野になるのだ、と。

この話からもわかるように、まずはスペシャリストを目指し、そこから興味のある融合領域を次々に作っていけば、優秀な成果を収められるであろうし、「広く、深く」を実現できるかもしれない。

ならば、始めからジェネラリストを目指した場合、どうなるであろうか。ジェネラリストを目指した勉強をしていると、各分野において、「深く」理解することはできない。浅い理解しか持っていないような人に、根本的に新しい発明や発想ができるであろうか。やはり難しいであろう。広く浅くを繰り返していては、新規性のあるもの・考えを生み出すことは難しいであろう。 深く理解していないということは、物事の成り立ちの道理を曖昧なままにしているということであり、その状態ではひらめきを生み出しにくいからである。

まとめ

ジェネラリストとスペシャリストについて、研究者として生きるのであれば、スペシャリストとして生きることを勧める。 スペシャリストを目指し、専門分野を作ることで、それを軸にしてそこから広めることで、ジェネラリストにもなれるからである。 はじめからジェネラリストを目指していると、「浅い」知識しか身に付かず、強い洞察力は身につかない。その結果、新たな発想や発見をすることは難しいであろうし、「広く、深く」を実現することはほぼほぼ不可能であろう。

したがって、「広く、深く」を目指す意欲ある学生は、まずはスペシャリストを目指してはどうだろうか。一度スペシャリストになれさえすれば、そこを起点に広めていくことができ、ジェネラリストにもなれるであろう。